スペインのスペースオペラの20巻目。収録作は第46話「生存戦略(Supervivencia)」第47話「邪悪種族トルボッド!(¡Thorbod! La raza maldita)」の二話分。

 第46話。反乱自体は収まったが、新しく政権を握った民主政権によって反乱に関与した軍人はすべてアトロンに追放されることとなった。マクレーン提督をはじめとする軍首脳部はもちろん、反乱を鎮めたアスナール側の人たちも含まれた。しかし、アトロンに向かう追放者を乗せた輸送艦のなかでマクレーン側の軍人がアスナールの関係者の殺害を企てた。その動きを察知したアスナールたちは輸送艦の搭載艇を奪取して一足早くアトロンに着陸し姿をくらませた。後を追ってきたマクレーンや、カマキリ、グーロ族、生き残ったロボットたちからも逃れる逃避行を続けていたが、ついにグーロ族に捕獲されてしまう。グーロ族は意思伝達手段として言葉ではなく、テレパシーを使っていたが、アスナール一行にはアトロンの先住民族バルトプールの直系フィデル・アスナールがいて、そのおかげでグーロとの意思疎通が成功。迫害を続けるバレーラ人から逃れてきたことも理解されて友好関係を設立する。グーロ族はもともとは平和的な種族だったのだ。そのうちに、バレーラがアトロンから離れてどこかへ飛び去っていくのが探知された。もう、ここで生きていくしか道はなくなったのだ。

第47話。アトロンに居住し始めてから50年後、ミゲル・アンヘル・アスナール提督の孫、トゥアンコはアトロンの海でエアボートにひかれるサーフィンを楽しんでいた。しかし、嵐が近づいてきたので帰る準備をしていたところ、マクレーン提督が樹立した「レナシミエント(新生)共和国」の兵士を乗せた飛行艇がアスナールたちが住むアルブラの街の方向に向かうのを目撃した。嵐の中、無線で警告を発するがうまく通じない。そのうちにトゥアンコは共和国軍に拿捕されてしまう。奇襲が成功し、次々とアスナール側の都市が占領されていく。共和国軍の中にマクレーンの独裁に不満を持つものがいて、彼らによりトゥアンコが脱出に成功する。その途中で巨大カマキリにむさぼられたと思しき奇妙な死体を発見する。それははるかな昔(第9巻、23話)人類により絶滅した種族トルボッドだった。いつの間にかアトロンに侵入していたトルボッドの侵略を警戒するアスナール提督だったが、地球の歴史を知らないグーロ族やここアトロンで生まれたタポ族はなかなか脅威を認めようとしない。今は一致団結して侵略の危機に備えなければならないのに、レナシミエント共和国は最後通告を宣言、内戦が始まろうとしていた。
 結局は、最終5ページになってから、マクレーン提督は側近に暗殺され独裁政治は終焉を迎え、長距離望遠鏡で「バレーラ」級の巨大トルボッド戦艦が接近してくるのを探知する。

《アスナール・サーガ20》
生存戦略(Supervivencia) 
(Silente,2003)
ジョージ・H・ホワイト George H. White

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