スペインのスペースオペラの6巻目。収録作は第15話「ナウムの侵略(Invasión Naumita)」第16話「暗闇の海(Mares tenebrosas)」の二話分。
 第15話は、第四巻でナウムのトルボット全滅作戦のとばっちりを受けて、地球を壊滅に追いやられた〝はらいせ〞(とは本文には書いてないが、まあ、そういうことだ)で、ナウムの母星のある星系へ、惑星船バレーラごと何百万人を引き連れてやってきたところで始まる。なにしろ、ナウム人は見境なくけんかを吹っかける野蛮な種族だから、ここらでいさめておかないと、宇宙に戦争が際限なくひろがってしまうと、アスナール総提督はおっしゃる。しかし、ナウム星軌道に近づいたとき、突然、青い光線に捕らえられ、すべてのエネルギーが停止してしまう。内部世界を照らしていた人工太陽をはじめ、すべての機器が使えなくなってしまったため、通信もダメ、光も何かを燃やすことでしか得られなかった。。そのうちに、ナウム人が侵入してきた。数少ない弾薬式の銃しか武器がないバレーラ側としては、なすすべがない。ついに司令室を占拠され、一部、エネルギーが復帰したが、総提督は住民の安全と引き換えに、全面降伏を決意する。しかし、ナウム人はいったん船を占領すると、十六才から六〇才の住民をナウム星に連れ帰り、子供と老人の殺戮を始めた。総提督の玄孫であるミゲル・アンヘル・アスナールとその友人ホセ・ルイス・バルマーは船の自爆という任務を与えられたが、その後、全面降伏に絶望した一部の軍部に、総提督はリンチにかけられ殺されてしまった。途中で、山地に潜伏していたホセ・ルイスのいとこ、アンヘラ・バルマー率いる部隊と出会う。アスナール家とバルマー家は確執があり、今回の総提督の件で、彼女はアスナール家を憎むまでになっていたので、ホセ・ルイスはミゲルを「ミゲル・アンヘル・ラサ」と紹介する。秘密の通路を通って、司令室に到着したアスナールたちは一時的に司令室を制圧、青い光線の射程外に移動させるべく、エンジンの起動に成功する。その過程で、ミゲルがアスナール家の人間であると判明するが、今回の活躍で二人は和解した。
 第16話は、その直後の続編。司令室は数時間で取り戻されてしまったが、アスナールたちは八千機の搭載艇とともにバレーラを脱出した。ナウム星系内のとある海洋惑星に近づいたところ、またもや青い光線で動力を奪われ、海に墜落する。アスナールが気がつくと、緑色の肌の女性がいた。ナウムの支配下にありながら、海底都市を築いていたイバハイ国の女王イーダであった。アスナール一行の治療をしてくれて、ミゲルは「地球のプリンス」としてもてなしを受けたのだが、どうもおかしい。ついには、自分と結婚して、王とならなければ、仲間を殺すと脅してきた。しぶしぶ承諾したミゲルの歓迎行事として、同じ惑星に住む敵対種族の海棲人の闘技を見せられたが、あまりの残酷さに闘技場に飛び入り、一人の海棲人を救助する。猛獣が放たれた闘技場の中に、解放されていたはずのアンヘラが覆面をされてまぎれていたのを見つけるが、あと少しのところで助けられずに死んでしまう。アスナールは絶望したが、その時、王女を奪われた海棲人の軍がこのイバハイの都市を攻撃してきた。先程救出した海棲人がその王女だったのだ。
 次回、第7巻は「対決!ナウム帝国(Contra el Imperio de Nahúm)」「緑の戦争(La guerra verde)」。アスナールたちのバレーラ奪還が語られるようである。
 最終巻、第24巻まであと18冊。今までの一年一冊のペースでは70才になってしまうので、読みきれない気がしてきた。もう少しペースを上げるとするか。


《アスナール・サーガ6》
ナウムの侵略
Invasión Naumita
(Silente,2001)
ジョージ・H・ホワイト George H. White

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